悲しいかな、このような記事を最近見た。

プログラミングスクールの講師を2年間続けて限界が来て辞めた話
https://qiita.com/Yuhi_M/items/a4cfcea07a93fc593ea9

この記事では、コロナ以前と以降で生徒のモチベーションが「ECサイトがつくりたい」「アプリが作りたい」といった明確な動機があったのに対し、コロナ以降は、「好きな時間に働ける!」「高単価、高時給」といった稼げることをアピールした広告が増え、生徒層に変化があったと書かれている。

もちろん稼ごうと思う気持ちが悪いことではないが、 一エンジニアとしてはこのような現状はとても悲しい気持ちになってしまう。

  • いままでとても長い時間勉強してきたプログラミングが簡単なものとして伝えられているような気がする
  • プログラミングができれば、仕事は多く舞い込み簡単に稼げるといわれているような気がする
  • 稼げるからプログラミングをしていると思われているような気がする

ざっと書き出してみたが上記のような心理からであろう。

ここでなぜ僕がプログラミングをやり始めたかを振り返ってみた(ちょっと長くなるが一応書いてみる)。

元々大学でデザインを学んでいたのだが、デザインも中途半端で自分だけのスキルが欲しいと思ったことがきっかけで、プログラミングを大学3年生のときに初めてやり始めた(大学2年生のときに授業でFlashのActionScript3.0を触ったことがほんとうの一番最初だが、プログラミングを学ぼうと思ったのが3年のときだった)。

当時は大学3年生の秋ごろから就職活動が可能で、就職ということばがよく聞こえるようになった時期だった。
当時はとにかく自分の力のなさがふがいなく、とてつもない強迫観念に駆られプログラミングの勉強を始めたことを覚えている。
正確な時間は測っていなかった(測っている余裕がある場合、時間だけに満足しているだけの人間だと思う)が、朝から晩まで一日10時間以上勉強していただろう。

当時はブラインドタッチもおぼろげだったが、iOSアプリ開発のための Objective C (その理解のため、CやC++もやっていた。そのおかげで ActionScriptでずっと謎だったポインタの概念もつかめたし、デザインパターンの理解やObjective Cのデリゲートなど言語特有の癖や違いなどもわかるようになった)とWeb開発(HTML・CSS・JS・PHP・Perl)、Linux(macOSのターミナルでのCLI操作やサーバー構築)ととにかくやりたいたくさんの分野に手を出していた。

だが、大学3年生の秋からプログラミングを始めて、大学4年になるころにはiOSアプリをリリースできるまでになったし、卒業までにはWordPressも触っていたように記憶している。
それから今に至るまで、業務時間含めると少なくとも3万時間以上はプログラミングを行なっているだろう。諸先輩方にとってはまだまだの数値だと思うが、有名な「1万時間」は優に超えている。

僕の人生においては、これほどまでに時間を費やしているものごとはなく、きっとこれからも学んでいくだろうと思うし、まだまだ学んでいきたいと思っている。
それほどプログラミングは深淵なる存在だし、ここまで時間をかけてきたからには想いは特別である。
先ほど勉強という言葉を使ったが、勉強しようとしてプログラミングしているわけではなく、自然と生活するようにプログラミングしている。
気張るようなものでなくなったし、そんなに気張っていたら、きっとプログミングを続けていられないだろうと思う。
特別プログラミングは特別な存在であると同時にすでに日常に溶け込んでいる存在になっており、もはや生きる手段となっている。

表題に立ち返ってみると、僕の主張では稼ぐ手段というのはまだ生きる手段の前段階であり、超越したものであると考える。
モチベーションが稼ぐ手段と生きる手段では雲泥の差であり、生きる手段まで考えを昇華しないと、おそらく同じ目線で仕事に取り組むことはできないだろうし、そのような人には技術的に負けることはないだろうと思ってしまう。

コロナ禍になって増えた客層というのは「ジムと契約したらムキムキになれる」と思っている人達なんです。

大切なのは継続であり、ものをつくりたい、だからプログラミングをしたいという気持ちこそが、継続を後押しするモチベーションだと感じる。


稼げるだろうとしてプログラミングを勉強し始めた人は、他の選択肢を考えなかったのだろうか。
いままでプログラミングをしてきた多数の人を鑑みると、例外があるとはいえ、学歴が高い人ほど高度なプログラミング技術を持っている傾向が高いと思うし、一般的にもそう思われていると思う。
そのような人がたくさんいるにもかかわらず、なにかを成し遂げたわけでもないだろうから(稼げるベースの職があればそちらで活躍するだろう)、広告に惑わされてプログラミングを始める人が多いだろう。
そうした場合、プログラミング技術をもたずにいかに生計を立てるかを考えると、やはり自分始めたきっかけである広告で自分を売り出すことになるだろう。
そうすると、プログラミング技術がない人ほど広告の技術を持ち露出が激しくなる。
クライアントはそれを見抜く力のある人ばかりじゃない。
だからいくつかの依頼は舞い込んでくるが、十分にこなすことができない場合、プログラミング、IT業界の評判は悪くなり、結果単価も安くなっていくという悪循環が生じてしまう。