私には、昨今の Web サイトの見た目はほとんど同じように見える。

UIはいくつかの分類と表層的デザインによって、使われるパターンが限られてきている。
インタラクションのパターンもいくつかのベストプラクティス(マテリアルデザインのような動きの構造化や人間の資格的に自然な動き)を選択することが多い。

装飾的なところだと、Bootstrapをはじめとして、Ant DesignのようなUIライブラリだったり、より低レイヤー化したTailwind CSS など、様々なCSSフレームワークが乱立しているから、それらで使用されているマージンの取り方やボタンデザインがモダンに見えて、昔ながらの質感的なデザインがレガシーに見え、さらにはフロントエンドに負担が生じるから誰も使わない。

これらはすべて真実であり、開発者としても「いつものパターン」を使用することが当たり前だと思っている。

ただ似ているサイトでも、実際に作ったり、使ったりしていると、「まったく違うもの」を扱っているという感覚に陥る。それはなぜだろうか。

結論として、エンジニアリングとそのエンジニアリングの表層であるデザインがクリエイティブを支えていると考えている。

WebGL による 3DCG や現実世界を拡張する AR、リアルタイム配信を支える WebRTC、Web Sockets、そしてAIの発展など技術がパターン化できないほどの自由性を与えてくれるし、それを形成するデザインもまた驚くべきクリエイティブ性を保持している。

これらを駆使した Web は、ユーザー、そして私たち開発者にも豊かな体験(UX)を与えてくれるだろう。
そしてデザイナーはもうピクセルだけに集中するのではなく、その体験を設計する仕事に従事していくことになるだろう。
Amazon Echoや Google Home に代表される音声デバイスや、iOSの通知センターなどのように、画面というものはもはや必要ないのなのかもしれない。

それをわかっていない開発者やデザイナーたちはもう、上流の設計者にこき使われるだけであり、そこに創造性は残っていないだろう。


2021/09/03 追記

実際のデータとして、Webサイトの見た目が類似しているというデータがあるようだ。

https://www.fastcompany.com/90501691/science-confirms-it-web-sites-really-do-all-look-the-same

上記の記事を見てみると、1万のWebサイトと20万の関連画像のサンプルからAIを使用して調査したようであり、2008〜2010年の間では大きな差があったが、2010〜2016年の間にその差が減少したようだ。
ただし上述のようなクリエイティブ性はもちろん、アクセシビリティに関しても優れたライブラリの使用比率が高いため、ユーザーがブラウジングしやすくなったというメリットがあるようだ。

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