先日下記の記事が話題になったことに対して。
デジタルオーバーレイ(アクセシビリティ・オーバレイ)とは導入するだけでアクセシビリティの問題を自動的に一括で解決することができると謳っているシステムのこと。
近年、デジタルオーバーレイはさまざまな箇所で導入されているが、これらを導入してもADA(Americans with Disabilities Act – 「障害を持つアメリカ人法)への対応ができていないという問題が発生しており、上記の記事はその見解を語っているものである。
本来Webは十分にアクセシブルなものであり、さまざまな機能を追加した結果、アクセシブルでなくなることが多い。
そういった場合にデジタルオーバーレイを導入することで一元的に対応を行うというのは理にかなっているが、実際に各個人のニーズや課題をすべて解決できる単一のツールなど存在しない。
現在策定されているJISやWCAGなどの規格に準拠したとしても、ユーザーは多様性に満ちており、解決は不可能であるといえる。
上記記事のツール「FACIL’iti」は欧米で問題視されている完全に自動化されたデジタルオーバーレイではないと語っている。
『FACIL’iti』は、100%自動化されたツールではありません。約60%を自動化できるアルゴリズムと仕組みを持っておりますが、残りの約40%は、開発チームが1サイトごと、1テンプレートずつ丁寧に確認し、手作業で制作、完成させます。100%自動化したツールを利用した場合、コントラストの低下や、表示崩れが発生することは認識しており、だからこそ弊社は100%自動化せずに、開発チームが作業をすることでこのような問題を回避し、クオリティの担保に努めております。
〜中略〜
弊社は一貫してWCAG、RGAA、JISといった規格や基準を達成を目的とした開発、提供は行っておりません。規格や基準では取り残されてしまう人々に対して、一人でも多く人が快適なウェブ利用ができることを目的とした補完的なソリューションとしての位置づけを認識、提唱しております。
この記事を読み今回初めてデジタルオーバーレイについて知った。
IT技術が進歩しても人間の多様性にはかなわない。
すべてを自動化することが望まれる昨今においても、ITで足りないところを人の手で埋めるということを主体においているのはとてもユーザーライクであり、IT企業にもかかわらず、ITだけに頼らないという姿勢が素晴らしいと思った。