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まだ一周目ではあるが拝読したのでメモ。

リモートワークを前提としたさまざまな観点での組織の構築方法(ルール策定、個人の働き方、マネジメント、評価など)が書かれていたが、リモートワークにかかわらず働き方の根本を学べるような書籍だった。
何度も読み返そうと思う。

印象的だったのは、

  • 近年取り入れられているハイブリッドワークのデメリット
  • 雑談の重要性
  • 意思決定の方法論

などが書かれていたことで、他のリモートワーク本や経営本と一線を画す完全リモートワークのGitLabならでは視点を感じた。

ひとつ取り上げると、ハイブリッドワークを行う場合の注意点として、出社している人と出社していない人の間でいくつかの観点での格差が生じることが挙げてられていた。
これは働き方に分別がある場合、個人の時間や環境などの自由をより企業に捧げる側(企業における道徳観念上の企業への献身性が高い方)が優位と感じる認知的不協和を引き起こし、一方に劣等感を与え、また手段の目的化を助長することを示唆している。

これは私が現在所属している企業は、ハイブリッドワークではないので直接的には参考にできないものの、別の部分で参考になった。

たとえば時間外労働について。
こちらは上長の承認を得ていない限りは、なるべく公に確認できないような行動を心がけるべきだと感じる(緊急ではない時間外の連絡、タスク追加・完了の通知、必須となったブログの執筆など)。
※ GitLabはグローバルなハイブリッドワークであり、フレックスが基本なので時間外労働については言及がなかったような気がする
作業自体は各々裁量があるため個人の選択の自由を妨げるのは難しく、私自身も行ってしまう場合があるが、他者の認知が可能だったり、影響を与えるのは好ましくないということである。
そうでないと時間外労働を促すことになり、目的である成果(実務時間内に仕事を終わらせるということ)に繋がらなくなると予想される。

全体としては、科学的な根拠は説明されていないものの、暗黙知を言語化されたようなすっきりとした読み応えで頭に入ってきやすかった。

また、ただの組織構築論ではなく、そこに垣間見える企業の倫理観が素敵で、だからこそ(本書ではあまり強く語られてはいないものの)ただ真似するだけではうまく活かせないと感じる。

企業の成り立ちや構造、事業の性質、その土壌といった環境を再確認したうえで、最適化しつつ段階的に取り入れていければ、本書の内容を自社に活かすことができるように思う。