Web制作の仕事をやっているとよく協業のお誘いがあるのだが、ここから小さなストレスを感じていることに気づいたので、書き留めておく。
とくにエンジニアからの連絡が多いので、エンジニア前提。
もしこのページをたまたま見ている「駆け出しエンジニア」は参考にしていただきたい。
まずエンジニアとして当たり前なこと、エンジニアとして働くのに最低限のスキルを大々的にアピールするのはやめていただきたい。
Web系エンジニアであれば、HTML・CSS・JavaScriptなんて当たり前。
書くのであれば、制作会社によっては好まれるスキル、たとえば(最近では触らない人も増えているので)WordPressやRails、Go、Rustなどを書いてほしい。
jQueryだとか開発環境のアピールとかはお門違いだ。
jQueryはスキルに入らないし、開発環境なんてプロジェクトによって変わるから固定されているとやりづらい。
それもわからないスキルレベルなのかとすぐに理解できてしまう。
あと「javascript」「Wordpress」のように書いているとすぐ弾く。
ちゃんと正式名称で書くように。
それに、本質的にはスキルとして書かれていてもどこまでできるかということを知りたい。
なので、スキルの詳細に関しては広く認知されているOSSのコントリビューターをやっているだとか、そういう客観的に判断できるような材料が欲しいのである。
次に、長々とした自己アピール文章はいらない。絶対見ない。
よく自分は「昔は(まったく別の職業)で〜独学でプログラミングを勉強した」や「家族を第一に考えてリモートでできる仕事を探したところコーダーの仕事が」みたいな身の上話をする人がいるが、ビジネスではそのような同情は通じない。
家庭の事情などを話すのは仕事できる時間に限りがあるというアピールにも思えるので完全に逆効果だ。
また、競合をお願いしているのもかかわらず「何かお手伝いできることはないか」とかコンテキストを理解していない文章も人間性を疑う。
まるでマーケターが自分を売り出すような文句を書いている人がいるが、そのような文章を書いてくる人ほど見ない。
やたらと自分の会社の実績を褒めてくる人もいるが、それは自分のレベルがそこに達していないアピールと同様である。
肩を並べるかそれ以上のレベルじゃないと基本的には会社にメリットがないので、そういうのもダメだ。
ほかにも、経歴を書いてくる人もいるのだが、制作会社の実務を経験していない人は会社勤務の人間にとっては印象が悪くなる可能性が高い。
基本的な業界の常識が通用しないかもしれないからだ。
書くべき自己アピールは、何ができるか、Githubのリンク、あとどの領域を作業したかがわかる制作実績やポートフォリオだけでいい。
前述のようにエンジニアならコードで語って欲しいし、制作実績が一番のアピールであることを肝に銘じてほしい。
最後に、リモートで作業していただくにしても、結局人と人とのコミュニケーションなので、人間性が大切であることを忘れてはいけない。
あなたが駆け出しであるのであれば、その文章を見ている相手はその何千倍、何万倍もの時間をエンジニアリングに費やしてきている。
時間に勝るものはない。
そんな都合よくエンジニアリングだけ天才だったなんてことはないので、あなたがもし私たちの半分以下の時間で同じ技術を習得できるのであれば、あなたはきっと東大どころかハーバード大学に入学できるだろう。
職業エンジニアは、大学の頃から数学なり、コンピューターサイエンスを専攻している人も多い。
学歴がすべてではないことは承知のうえだが、そんな人たちにあなたは学歴で勝てる自信があるだろうか。
それに学歴が上だったとしても、あなたが私たちより短い学習時間で同じ技術レベルまで成り上がったとアピールできるだろうか、自己問答してほしい。
もしあなたが一万時間の法則をクリアするに至っていないような未熟なエンジニアの場合、あなたが見えていない世界を相手は見ていると考えたほうがいい。
※他の分野でエキスパートだった人はその前提で立ち回っていることが多いので、なにか物事を習熟した人にしかわからない共通のなにかしらがあるように感じる
実際に技術者間では共通認識できる壁がいくつもあるし、偉そうに語っている筆者も最後が見えないくらいに壁が並んでいる。
いくつか壁を見渡せる位置まで来ることができれば、前も後ろもある程度は理解できるようになる。
自分の立ち位置を理解できていない人なんてすぐに認識できるのだ。
場合によっては、技術力なんてなくてもいいことはある。
人手が足りず、ここまでできる人でいいと技術力を妥協することはいくらでもある。
だとしても、自分の立ち位置を理解していない人間とは会話したくないのだ。
技術力がなくとも、等身大でアピールする人間には駆け出しであろうと心惹かれるものがある。
自分を大きく見せることなく、謙虚、それでいて立ち位置を理解した文章こそが、わたしたちへの最大のアピールとなる。
もちろんある程度の技術力が必要かつ、熱意が見て取れることが前提ではあるが。