日本歯科専門医機構が認定する基本的な診療領域に係る歯科医師の専門性資格である「補綴歯科」について、専門医広告が可能となった。というニュースを見た。
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001147597.pdf
最初このニュースを見たときには「へーなんかリスティング広告とか出せるようになるんだー」という呑気な考えだったのだが、ちゃんと調べてみると全然違った。
素人が調べた限りではあるが、最終的に「補綴歯科」の資格を有する医師が在籍しているクリニックの各広告において、その名称を使うことが許されるという認識に至ったのである。
その過程で調べた専門医広告についての知識をメモとして残しておく。
専門医広告とは
専門医とは、専門医制度という医師や歯科医師が特定の医学分野において高度な知識や技術を持っていることを認定する制度によって認定された医師のことである。
専門医制度には主に以下のような目的がある。
- 医療の質の向上:専門的な知識や技術を持つ医師を育成・認定することで、患者に高品質な医療を提供する。
- 患者の選択の補助:専門医の認定を通じて、患者が自身の病状や状況に合った適切な医師を選択する手助けをする。
- 医師のキャリアパスの提供:医師が自身の興味や適性に合わせて専門分野を深めるためのキャリアパスを提供する。
そして専門医広告とは、医師や歯科医師が自らの専門的なスキルや資格、経験を広告として公表することを指す。この広告は、一般的にはクリニックや病院のウェブサイト、チラシ、雑誌、テレビなどの様々な媒体で行われる。
専門医広告の目的は、以下のような点にある。
- 情報提供:患者や一般市民に対して、医師の専門性や資格、経験を知らせることで、適切な医療サービスを選択する手助けをする。
- 市場競争:多くのクリニックや病院が存在する中で、自らの強みや特色をアピールし、患者を獲得するための手段として広告を利用する。
しかし、専門医広告には注意点や規制も多く存在する。
医療に関する広告は厳しく規制されており、以下のような理由から制限が設けられている。
- 誤解の防止:広告の内容が誤解を招く可能性があるため、真実かつ適切な情報のみが掲載されるようにする。
- 公益の保護:医療は公益性が高いサービスであるため、不当な宣伝や過度な宣伝を防ぐことで、患者の利益を守る。
- 専門性の保護:医療の専門性や信頼性を損なわないように、品位を保つための制限を設ける。
そのため、専門医広告を行う際には、関連する法律や規制を十分に理解し、適切な方法で広告を行うことが求められる。
専門医広告を行う場合の注意点
以下の厚生労働省が出している PDF がわかりやすい。
https://www.mhlw.go.jp/content/001153604.pdf
(解説してくださっている記事:https://labcoat.jp/medical-ads-case/ )
リスティング広告自体が一律禁止されているわけではなく、広告可能事項の範囲内であれば広告可能である。
と書かれているので、あまり見ないが医療機関でもリスティング広告ができる。
今回の「補綴歯科」が専門医広告が可能になったという経緯について
○歯科における専門医制度については、一般社団法人日本歯科専門医機構において、10基本領域で認定の検討が進められることとされ、広告可能な5領域(※1)の認定が終了し、それ以外の5領域(※2)は、専門医像や専門領域について関係学会間での協議が終わったものから順次、認定を行うとされていた。
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001147597.pdf
※1 口腔外科、歯周病、歯科麻酔、小児歯科、歯科放射線
※2 歯科保存、補綴歯科、矯正歯科、インプラント歯科、総合歯科(名称はいずれも仮称)
○今般、同機構の令和5年度第1回理事会(臨時)(令和5年5月24日開催)において、新たに、「補綴歯科」の領域について認定が行われた。
と記載があるように、以前から検討が進められており、ようやく認定・公表に至ったということである。